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プールアニックとカイ・クリスチャンセン
きっかけは、デンマークから輸入したうちの1脚
美しいアームを持つソファでした。
目にした瞬間、製造されなくなって久しいこのソファを
私たちは再び復刻したいと考えました。
そして、このソファが「Kai Kristiansen(カイ・クリスチャンセン)」というデザイナーの作品ではないかという情報を手に入れ
私たちは、デンマークの彼のもとへ向かったのです。
緊張した私たちを迎えてくれたのは、カイ・クリスチャンセン氏の暖かい笑顔でした。
それは今でも忘れがたい、印象深い瞬間です。
彼はこのように語ってくれました。
“このソファは、自分でもとても気に入っているデザインです。
そのデザインが、遠い日本で、プールアニックで復刻される…。
自分はとても幸福だと思います。
あなたたちの親切に感謝しています。そしてまたお会いしたい。”
カイ・クリスチャンセン氏との交流が始まり、私たちが復刻を熱望したこのソファは
2004年秋、約50年の時を経て、「Paper Knife Sofa(ペーパーナイフソファ)」として日本で復刻を果たしました。
復刻から20年におよび、ペーパーナイフソファは、日本の宮崎椅子製作所の優秀な職人の手により、作り続けられています。
カイ・クリスチャンセン氏もまた、90歳にさしかかりながらも、その目はエネルギーに満ち
今も新商品の開発に携わっています。
こうしてカイ・クリスチャンセン氏と私たちの交流が始まり、そして、プールアニックのために新たに「ペーパーナイフローテーブル」をデザインして頂けるという幸福にも恵まれました。
2007年の夏には、これもまた名作と呼ぶにふさわしいカイ・クリスチャンセン氏のNo.42チェアを、復刻版として新たに発売を開始しました。
さらに2008年には、このチェアにぴったりのダイニングテーブルの復刻を計画し、ユニバースダイニングテーブルが誕生しました。
出世すること、名声を得ることに執着を持たなかった質実なデザイナーの作品は、なぜか私たちの心に暖かいものを感じさせます。
時代や国を超えて生き続け、愛され続けるデザイン。その中にある、かたちには見えない大事なもの。
そんなものをお届けできるインテリアショプでありたいと、プールアニックは思っています。
カイ・クリスチャンセン氏とプールアニックとの交流は、本当に良いものを世に送り出したいという共通の思いを胸に、あの出会いの日から今日に至るまで、変わりなく続いています。
「もの」の中に秘められた、目には見えない思いや暖かさ、出会いと交流が生んだ物語。
今回の記事が、そういったものにほんの少し耳を澄ましながら、共に暮らしていく家具たちを見ていただける機会となれば幸いです。
【Kai Kristiansen(カイ・クリスチャンセン)デザイン ラインアップ】
Kai Kristiansen(カイ・クリスチャンセン) 1929〜
ハンスウェグナーやボーエモーエンセンと同様、 コーア・クリントのデザイン思想、
「古代は現代よりモダンである」―過去のものから良いところを取り入れ、
さらに人間工学を考慮したデザイン― その思想を担った世代のデンマークのデザイナー。